コミュニケーション改善
こころの距離が対人コミュニケーションの要
対人コミュニケーションにおいて、相手とのこころの距離を意識することは、そのままお互いの感情を意識することにつながります。さらに、お互いのこころの距離を近づけようとする行為は、そのままEQを発揮することといっても過言ではありません。
EQを活用することで得られる成果にはさまざまなものがあります。
自分の感情を利用し、調整することで、自らのモチベーションを高め、やる気を出し、エネルギーに変えることもEQの発揮であり、成果です。
その場の空気をすばやく的確に読み取り、周囲が期待していることを先んじて実行したり、先手を打つことで周囲の信頼を得るのもEQの成果です。
事業計画立案などに際して判断を行なうとき、極端に楽観的に考えたり、過剰に悲観的な見方に陥らないよう、感情を調整することもEQの活用です。
また、不安な気持ちを前向きな感情に切り替えることでリスクに対処したり、おおぜいの前でのプレゼンテーションのように緊張する場面で、自分の感情をコントロールすることで緊張感を緩めるのもEQの発揮であり、成果です。
ただし、ビジネスの現場における対人コミュニケーションに限れば、それが対上司であっても、あるいは対部下、対同僚、対先輩、さらには対取引先であっても、EQを発揮する最大の目的は、互いのこころの距離を近づけることにあるといってよいでしょう。
上司と部下のコミュニケーション
たとえば、「部下とはできるだけ話をするようにしているが、なかなか思ったように動いてくれない。どうしたらいいか」といった声を多く聞きます。上司として部下に必要な指示なり意思は伝えているはずだが、自分の期待ほど部下がやってくれないという悩みです。
EQの視点からいうと、こういった例でよくあるのは、上司は自分の意思を伝えたつもりでも、部下のほうにはそれが伝わっていないというケースです。上司は部下が思ったようにやってくれないので、何度も話をします。
しかし、部下のほうは何回も同じような話ばかりされ、うんざりしています。あるいは「そんなに俺のことが信用できないのか」と逆に反発しているかもしれません。つまり、上司が部下のことを考え、良かれと思ってやっていても、それが部下には伝わっていないのです。
その原因は、部下の感情へのアプローチが不足しているからです。上司は出来うる限り部下の感情のコンディションを知っておくことが大切です。もし、それが出来なければ「いま話が聞ける状態ですか」と聞くこともひとつの方法でしょう。その配慮が相手にも伝わり、相手も自分の感情を調整し、話を受け入れる状態にしてくれます。これは、対象が先輩であっても同僚であっても同じです。
取引先とのコミュニケーション
取引先のような社外の人が相手であっても同じことがいえます。
たとえば、よく聞くのが「担当者をかえたら、取引先との関係がギクシャクしてきた」という例です。納品した製品に問題があったり納期が遅れたわけではありません。にもかかわらず、最近、競合他社の営業マンがよく出入りしている、これまではまったくそんなことはなかったのに取引先に相見積りを取ろうという動きがある、といったようなケースです。
むろん、競合他社がパフォーマンスの高い新製品を開発したといったような状況の変化があれば話は別です。でも、そういった状況変化が何もないとしたら、新しい担当者に何らかの原因があると考えるのが普通です。しかし、その担当者に理由を聞いても、おそらく「前任者にいわれたように、ちゃんとやっています」という答えが返ってくるだけでしょう。
こういったケースで考えられるのが、新しい担当者と先方の担当者との間に良好な関係が構築されていないということです。
本人はきちんとやっているつもりでも、取引先の担当者からみれば本人に対し何らかの不安や不満があるのかもしれません。しかし、他社の営業担当に向かってそんなことを直言するビジネスパーソンはあまりいません。言葉にするときは苦情かクレームの段階になったときです。新しい担当者は相手のそういった感情に気づかないため、自分に問題があるかどうかさえわからないのです。
このような場合、こころの距離を近づけるようなアプローチを行なうことで、たいていの問題には対処できます。
たとえば、
「何かご不満がおありでしょうか」
「何でもお話しください。必ず解決します」
といったように正直に相手担当者の気持ちを聞いてみることも方法のひとつです。
こころの距離が近づくことで、相手も自分から「あれは、こうしたらいいよ」とか「こうしてもらえると助かるんだけど」という腹を割った話をするようになるからです。ときには「○○さんだから話しますが、今度、新しい事業に進出する予定がありまして・・・」といった価値のある情報などを、競合他社に先んじてもらうこともできるようになるのです。
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ELP(Emotional Literacy Program)シリーズ
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